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【コラム】お茶のことわざ辞典 その① 2024.1.12

日本人は、食事中やお仕事の合間、人をもてなすときなど、様々なタイミングで毎日のようにお茶(緑茶)を飲みます。それだけにお茶は、日本人の生活習慣や文化に大きな影響を与えてきました。


中でも格言やことわざには、お茶にまつわるものがたくさん🍵そこで今回は、お茶にまつわる格言やことわざをご紹介致します。


【朝茶は七里戻っても飲め】


朝忙しく、お茶を飲まずに出かけた時でも、途中家に戻ってでもお茶を飲んだ方がいいという意味。“里(り)”は距離を表す単位で約4km。七里は約28kmになります。それだけの長い距離を引き返してでも、朝にお茶を飲むことが大切であると伝えています。


他にも「朝茶はその日の難逃れ」、「朝茶には福が増す」、「朝茶に別れるな」、などなど、朝のお茶を大切に、という意味のことわざには多くのバリエーションがあります。日本人のお茶好き、お茶の効能が昔から信じられていたことをよく表すことわざです。


【茶湯子は眼に入れても痛くない】


「茶湯子(ちゃとうご)」には、末っ子という意味があります。末っ子、または年をとってからできた子どもは、親にとってかわいくてたまらないということを言い表しています。


【茶碗の飯粒がきれいにとれたら雨になる】


昔の人の経験から生まれたとされる「気象占い」の一つ。晴れの日は空気が乾燥するため茶碗に飯粒がくっつきやすくなります。反対に、空気が湿っていてると茶碗から飯粒がはがれやすい。つまり、そんなときは雨が近いという意味です。


天気予報が発達していなかった昔は、こうして身近なものを使った天気占いが多く見られたのでしょう。


【石臼芸より茶臼芸】


石臼は小麦や米などの穀物を粉にすることができ、万能と言えますが突出して秀でた面はありません。対して茶臼は、お茶の葉っぱを挽いて抹茶をつくることにのみ使用しますが、粒子の細かい抹茶を挽くため非常に精巧に作られており、貴重な抹茶づくりには欠かせないものです。


そんなことからこのことわざは『広く浅く何でもできるよりも、一芸に秀でた方がよい』という意味で使われます。

【茶化す】(ちゃかす)


真面目な話を冗談っぽく言うさま。また、その冗談に無理矢理結びつけて、ごまかしたりすることを言います。江戸時代、芝居用語で笑わせる場面を表す“ちゃり場”という言葉が流行し、“茶利場”という字が当てられました。


やがて“茶”はおどけたりふざける様子を表すようになり、そこから、茶化す、茶目っ気、ちゃらんぽらん、ちゃちゃを入れる、といった言葉も生まれたと言われます。つまり、“茶”はお茶のことではなく当て字だったというわけです。「真剣な話をしてるのに、茶化さないで!」なんて使います。


【茶腹も一時】(ちゃばらもいっとき)


お茶をいただくだけでも少しの間は、空腹をまぎらすことができます。わずかな物でも一時しのぎになるという例えで用います。


【和敬清寂】(わけいせいじゃく)


かの茶聖、千利休(せんのりきゅう)が茶道のあり方について語った言葉であると言われています。“和”は人との協調性、“敬”はお互いが敬いあうとこと、“清”は、心身ともに清らかであること、“寂”は穏やかで動じない心を表します。それら4つのことを大切にせよというこの言葉は、意外と当たり前な内容だな、と捉えられるかもしれません。しかしシンプルで当たり前なことほど、実践することは難しいものです。


茶道のみならず、私たち現代人の人付き合いや生き方においても、この“和敬清寂”という言葉から学ぶことは多いと思います。

【茶碗を投げれば、綿で抱えよ】


相手が怒って茶碗を投げつけられるようなことがあったら、割れないよう綿で受け止めなさいという意味です。相手が強気な物言いをしてきた場合などは、あえて柔和な態度で受け止めた方が角が立たないという、人間関係を円滑に保つための古くからの格言です。 


以上、お茶のことわざ辞典その①をお送りしました。次回ことわざ辞典も楽しみにお待ちください。

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